用地測量とは

用地測量は公共測量に係る作業規程の準則に定められた測量です。
公共測量は、測量にかかる費用の全部又は一部を地方公共団体等が負担し、基本測量の成果や公共測量の成果を用いて行う測量として測量法に規定されています。
用地測量は道路拡張等に必要な土地買収計画を立案するための行政資料を作成する業務で国土交通省に登録された測量業者のみが行うことができます。

測量士・測量士補は、基本測量・公共測量を行うことができる業務独占資格です。

用地測量の手続き

  1. 用地測量(公共測量)を実施する場合は、作業規程を定め、国土交通大臣の承認を受けなければなりません。作業規程は、「作業規程の準則」を準用して発注者が独自に作る事ができます。
  2. 当該作業地域における基本測量及び公共測量の実施状況を把握し、目的・地域・作業量・期間・精度・方法について適切な作業計画を立案します。
  3. 測量標及び測量成果の使用承認を受けます。国家基準点については国土地理院、公共測量で作成された基準点についてはその成果を作成した測量計画機関の承認を受けます。
  4. 公共測量実施計画書を国土地理院長に提出し、助言を求めます。
  5. 公共測量の通知等を国土地理院長に通知します。
  6. 受託測量作業機関に、現地測量担当者に身分証明書を発行します。
  7. 関係都道府県知事に、公共測量を実施する旨の通知をします。
  8. 用地測量作業を実施します。
  9. 必要に応じて第三者機関による成果検定を受けます。
  10. 用地測量成果等の提出を受けたときは、すみやかに当該測量成果等の精度、内容等について検査します。
  11. 完成した用地測量成果を国土地理院長に提出し審査を受けます。十分な精度があると認められた場合は、測量法の手続きにより広く国民に公開されます。
  12. 作業が終了したら、関係都道府県知事に、公共測量の終了した旨の通知をします。併せて測量標設置の通知をします。

用地測量の作業工程

1.発注者との打合せ協議・作業計画書作成

測量以外の事業全般を考慮しながら作業計画を立案し、発注機関と作業の進め方等について協議しながら作業計画書を作成します。

2.公図等の転写(連続図作成)

管轄法務局等に備え付けられている地図や地図に準ずる図面の写し証明を取得します。複数図面にわたる場合は連続図を作成します。

3.地積測量図転写

管轄法務局に備え付けられている地積測量図の写しを取得し、復元測量の資料とします。

4.土地・建物登記簿調査

管轄法務局に備え付けられている土地の登記事項、証明書、要約書、必要に応じて閉鎖登記簿、土地台帳、閉鎖地図などを取得します。

5.土地調書作成

管轄法務局で入手した登記事項証明書又は要約書等を土地調査表にまとめます。事業に応じて必要であれば建物の登記記録等調査表も作成します。

6.公共用地管理者との打合せ

法定公共用財産や法定外公共用財産は各種法律により管理者が特定されています。
境界を確認する必要があるときは、境界確定の範囲及び作業の進め方について、事前に管理者と協議する必要があります。

7.依頼書及び協議書作成

公共用地の境界確認は、境界確定を文書で申請し、確定後は境界確定協議書を取り交わします。

8.基準点測量

用地測量に着手する前に、現地に世界測地系による基準点を設置します。
この基準点は測量作業規程の4級基準点以上の精度を保持している必要があります。

9.復元測量

境界確認に先立ち地積測量図等の関係資料に基づき境界杭の位置を確認し、亡失点がある場合は復元杭を設置します。

10.境界確認

現地において一筆ごとに土地の境界を確認する作業をいいます。境界を確認する範囲は以下のとおりです。

(1)一筆を範囲とする画地。

(2)一筆の土地であっても、所有権以外の権利が設定されている場合は、その権利ごとの画地。

(3)一筆の土地であっても、その一部が異なった現況地目となっている場合は、現況の地目ごとの画地。

(4)その土地に付属するあぜ、溝等。

11.補助基準点設置

既に設置された基準点から境界確認した点が観測できない場合、補助基準点を設置します。

12.境界測量

現地において基準点から境界点等を測量し、その座標値を求める作業です。やむを得ない場合、補助基準点から測量します。

13.用地境界仮杭設置

境界確認で合意された境界線上に、境界測量の成果に基づき、買収予定地の用地境界に杭を設置する作業です。

14.境界点間測量

境界点間の距離を測定し、境界測量の精度を確認する作業です。

※境界測量を実施して求めた座標を基に計算した境界点間の距離と実測した距離とを比較し、較差が許容範囲内かどうか検証します。

15.面積計算

境界測量の成果に基づき、取得用地及び必要な残地の面積を算出して面積計算書を作成します。

(1)一筆の土地の現況地目ことに求積します。

(2)所有権以外の権利の及ぶ範囲を定めて求積します。

16.用地実測図データファイルの作成

境界点の測量から面積計算までの工程を経て、座標値や求積面積を図面データファイルに格納する作業です。